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Modern Sonata 曲目解説②

  • rtdhimawarii
  • 2019年11月17日
  • 読了時間: 3分

<Modern Sonata>

形式に捉われずに自由に今まで書いてきたのですが、自分なりのクラシックとポピュラーの関係を考えたときに、これまではずっと<融合>という押さえでした。


言葉通り「混ぜる」ということです。それには、


①クラシカルなものをポピュラーに表現する(主にハーモニーやリズムの面で)。


②ポピュラーなものをクラシカルに表現する(楽器編成などのサウンド面、アレンジ)


があると思います。


①は今回のアルバムで言う<G線上のアリア>に当たると思います。羽田健太郎氏の<フックト・オン~>シリーズもそうだと思います。いろいろなクラシックの作曲家の名曲をポピュラーなリズムに乗せてメドレーにする素晴らしい取組です。


②は今回のアルバムで言う<アメイジング・グレイス>に当たると思います。アメイジング・グレイス自体はもう歴史のあるメロディーなのでポピュラーと言い切るには無理があるかもしれません。前奏はそのモチーフを使ったフーガ風、バロック風なものをイメージしました。中間部はジャズ風ですが、転調後も含めて、基本的にはクラシカルなものをイメージしました。


すぎやまこういち氏の東京八重奏団(当時のN響の首席奏者を中心に構成された室内楽団)の<TOKYO OCTET PLAYS~>がその走りに当たると思います。


例えばTOKYO OCTET PLAYS BEATLESでは、イエスタデイにおいて、実験的な前衛的な不協和音、オブラディオブラダではクラリネット、ヘイジュードではチェロのカデンツァがあります。カデンツァはしっかりとその楽曲のモチーフを使って楽器の技巧を魅せる書き方になっています。


他にもすぎやま氏のビートルズアレンジは弦楽四重奏やオーケストラにもなっています。ポール・マッカートニーの作る音楽が、非常にクラシカルな横のつながりを意識したハーモニー進行になっているからこそ、これらのアレンジが映えているのだと思います。


私も自分なりにクラシックとポップスの<融合>を目指してきたのですが、ここ最近思うのが<共存>です。未だに<融合>と何が違うのかといわれるとうまく説明できないのですが、今回のModern Sonataが今の時点での自分の<共存>の答えです。


厳密に言うと大作曲家の先生方に怒られるかもしれませんが、ソナタ形式で作っています。提示部の第一主題はハーモニーの構成音をなぞる形の器楽的な旋律、第二主題は音階をなぞる形の歌唱的旋律にしました。


展開部ではこの器楽的な第一主題と歌的な第二主題を用いたジャズアドリブ風のセッションとしました。二つの主題をフルートとヴァイオリンで掛け合いで演奏し、いたるところにバッハのヴァイオリンとフルートの独奏曲のモチーフを挟みました。


展開部の最後にはピアノのカデンツァがあります。カデンツァは一応譜面として書きましたが、もともとカデンツァは奏者の技巧を魅せるために、奏者が自由に演奏していたのではないでしょうか。それが、いつの間にか書かれたものばかりになっているのは、少し寂しい気もしています。自分自身も、毎回同じには弾いていません。


再現部は、教科書的ですが、第二主題を短調で表現し、各楽器が歌い上げるよさを生かせるように意識しました。


クラシックをポップスに、ポップスをクラシックにではなく、それぞれにいいところを取り出しながら<共存>させるために、ソナタというクラシック音楽の形式で書くことは、自分にとって勉強になることでした。


今回このアルバムに収録されているModern Sonataはいわゆる第一楽章にあたるもので、自分の想定としては第三楽章までを考えています。また時間を見つけて、ゆっくりと書いていこうと思います。


 
 
 

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